対訳 21世紀に生きる君たちへ



対訳 21世紀に生きる君たちへ
対訳 21世紀に生きる君たちへ

ジャンル:自己啓発,能力開発,意識改革,自己改革,学習
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卒業する子どもたちに

おこがましいのですが、まさに自分が子どもに伝えていきたいと思っていた事を代弁してくれている本だと感じました。小学校を卒業する子どもたちに贈っています。今は深く理解できなくても、人生の岐路に立たされた時いつでも手に取れるように、そしてその機を逃しても、ふとこの本を読み返したときに、自身の選択はどうであったかと振り返ってもらえるようにと願っています。
これこそ日本語の鑑としたい名文

司馬遼太郎さんの本はたくさんありますが、私は最晩年に子どもたちに向けて書かれたこの本が一番好きです。いわゆる名文だと思います。この中の一節「私は人という文字を見るとき、しばしば感動する。ななめの画くがたがいに支え合って、構成されているのである」はよく言われることですが、この文章の中で出会うと格別の趣が出てきます。
司馬遼太郎さんの21世紀へ生きる若者への心からの遺書

「21世紀に生きる君たちへ」の表題どおり、そして文章の中にも出てきたが、司馬さんは、遂に見たかった21世紀を見ることができなかった。生前の司馬さんの講演を思い出す。
東アジアでちっぽけな国になっても誇りをもって他の国に迷惑をかけず、できれば世界に貢献し、お金持ちの国ではもうなくなっているかもしれないけど「尊敬される国」になって欲しい。そんな思いを思い出した。読んで涙が出てきた。

「自分に厳しく他人に優しく」「たのもしさ」を持って自律した個人として生きて欲しい。他人の言うまま無批判的に生きるのでなく、その結果を他人に転嫁するのでない生き方をして欲しいという子供たちへの願いに溢れている。「自分の頭で考え、自分の判断によって行動し、その結果起きた事実は自分で引き受ける」近代の自律した市民を自己の中に確立しなければ、戦争を起した日本人と同じ過ちを犯すのだという事を、生前繰り返し話されていたことを思い出す。

緒方洪庵の「利を求めず、名を捨てよ」という精神は、司馬さんがよくあげられていた幕末の熊本の宮崎兄弟の「世のために尽くせ、人のために尽くせ、そのために死ね」の言葉や吉田松陰の「私は大事を為したい」という言葉を思い出した。
「利よりも義(正義)」といった美しい日本の美徳について、まだまだ司馬さんに生きて方って欲しかった。

今年2月12日の命日で死後11年になる。

司馬さんの心や願いは一体、しっかり21世紀に生きる我々日本人の心に生きているのか?
そう思うと申し訳ない気持ちで悲しくなった。
お亡くなりになった1996年から11年後の今が、そのときより、いい日本になったととてもでないけれど言えないから。

できるだけ子供たちにも、多くの大人にも読んで欲しい。
司馬さんの渾身の我々への簡易簡潔ながら心のこもった「日本人みんなへ宛てたかけがえのない遺書」であるのだから。

私も小学生時代にこの本に出会いたかった。

小学生の教科書としても使える良書と聞き、ぜひ娘に読ませてみたいと早速購入した。結果はというと9歳の娘には難しい内容だったようだ。彼女が興味を示さないので、自分で読んだ。
3回読んだ。はじめは、いつものようにざざっと読み、次にはじっくりと。そして3度目は、英語対訳と見比べながら読む。「小学生時代にこの本に出会いたかった」と思えるほど、投げかけられたそのメッセージは、優しく愛情に満ちたものだと感じた。子供たちに何かを伝えるかといったとき、何かに目覚めてもらいたいと感じたときに、この厳選された言葉は引用してみたいという欲求に変わる。新年や新学期のみならず、活力を貰いたいときに読み返す本として絶品だと感ず。
小学生には少し難しいけれど、

自然を尊敬し大切にする。自分に厳しく、他人に優しく。助け合って生きる。
日本人だけではなく、他民族へのいたわりの気持ちをも自然と持てるように。

日本の歴史を知り尽くし、国民作家として膨大な作品を残した作家が、
最後にこれからの日本を担っていく子供たちに残したメッセージ。
自然破壊が進み、道徳心も優しい気持ちも薄れてきている今の状況を知っていながらも、
「僕は君たちを信じているよ。君たちならきっと出来る。現に少しずつ良くなってきているではないか。」と、
読んだ人間に明るい希望を持たせ、その気にさせる。さすが司馬遼太郎。

5年生のわが息子には少し難しかったようですが、
「司馬さんの期待に応えられるようにがんばります。」で結んだ
なかなか良い感想文を書いていました。
司馬さんの気持ちはちゃんと伝わっています。



朝日出版社
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